2023.08.18

⚠⚠愛犬が熱中症に弱い理由⚠⚠

●体温上昇のしくみ

熱中症とは体温の調節機能が働かず、体内の主要臓器が高温により機能低下することで起こる障害の総称です。
ではなぜ夏場は体温の調節が利きにくくなるのでしょうか?

・[外気温と体温]
熱は温度の高い方から低い方へ移動し、そして温度差が大きいほど移動量も多くなります。
わんちゃんの体温を38℃、冬の外気温を10℃とした場合、温度差は28℃もありますから熱は体からどんどん奪われます。しかし実際は代謝熱などの産生と被毛の保温作用により体温は一定に保たれます。

対して真夏の外気温を35℃とした場合、その差は3℃ほどしかなく熱の移動量はほんの僅かです。
わんちゃんは生きている限り代謝熱や運動によって熱を産生するため、体温はじわじわ上昇します。
しかし放熱量は冬のように多くないため、体温が41℃以上に達すると熱中症を発症するということになります。

・[体温上昇:生体要因]
体温が上昇する理由を考えてみましょう。
体内では常に熱エネルギーが産生されていて、これには基礎代謝熱と骨格筋の運動による熱の2つがあります。
基礎代謝熱とは何もしないでごろんと横になっている時の体温、筋運動による発熱は走った後の体温と考えると判りやすいでしょう。

これに加えてわんちゃん・ねこちゃんでは被毛の作用が大きく関わります。全身に密に生えている被毛には、体内で産生された熱を外に逃がさないように保つ働きがあります。このため夏場は放熱しにくく体温はどんどん上昇します。

・[体温上昇:環境要因]
夏の散歩は大人よりも子供やわんちゃん・ねこちゃんにおいて負荷が大きいといわれます。
それは直射日光や気温など環境に由来するものの中で、地面からの輻射熱ダメージが大きいためです。

輻射熱とは地面から伝わる熱のことですので、地面と体の距離が近いほど多くの熱=暑さを感じることになります。
芝生の公園よりアスファルト道路、大型犬より小型犬の方が熱は伝わりやすく、その分体温上昇リスクが高くなります。

●体温を下げるしくみ

次に夏場の高い体温を下げるしくみを考えてみましょう。
体の中から外への放熱には蒸気として逃がす方法(蒸発性)と、皮膚から直接逃がす方法(非蒸発性)の2つがあります。そしてここでもヒトとわんちゃん・ねこちゃんでは大きな違いがあります。

・[蒸発性の放熱:呼吸、発汗]
蒸発性の放熱には熱く湿った息を激しく吐く呼吸があります。これは運動時に行われますが、わんちゃんの場合ではパンティングにあたります。舌を大きく出してハッハッハッと呼吸することで体温を逃がしています。

もう一つは発汗です。汗を作る汗腺にはエクリン腺とアポクリン腺の2種類があり、体温を下げるサラサラの汗はエクリン腺から分泌されます。人は全身にエクリン腺が分布していますがわんちゃん・ねこちゃんには肉球部分しかないため、全身で汗をかいてその気化熱により一気に体温を下げることはできません。

・[非蒸発性の放熱:皮膚]
筋肉を動かすことで発生した熱は血液に移動し、温まった血液は血管を経由して全身の皮膚に届きます。
血液中の熱は皮膚の毛細血管から皮膚を通り直接外部に逃げます。これが非蒸発性の放熱です。しかし、わんちゃん・ねこちゃんでは全身の被毛が邪魔をして熱が逃げにくくなっています。

このようにわんちゃん・ねこちゃんは全身で発汗しないため気化熱による放熱ができず、加えて被毛が皮膚からの直接的な放熱を阻害するため、夏場の体温調節はパンティングのみということになります。結果として産生された熱は体内にこもりやすく、熱中症リスクが高いといえます。このようにコラーゲンのアミノ酸は筋肉と大きく異なっています。
この中で注目すべきは、プロリンというアミノ酸を比較的多く含んでいるという点です。

馴染みがないプロリンですが、これが少し形を変えたものに「ヒドロキシプロリン」というアミノ酸があります。
このヒドロキシプロリンは他のタンパク質にはほとんど含まれず、コラーゲンに特徴的に存在しているアミノ酸です。他にもコラーゲンはヒト、わんちゃん、ねこちゃんの必須アミノ酸であるトリプトファンを含んでいない点など、肉と比べると栄養的な意味は小さいタンパク質です。また、腎臓や肝臓は加齢とともに機能が低下していくため、老犬になるとアンモニア臭がする愛犬が増えていく傾向にあります。アンモニア臭の口臭以外に、下痢、嘔吐、便秘、食欲不振、体重減少などの症状が出たら要注意です。

●熱中症の応急処置
熱中症は経過が速いため初期対応の遅れは命に係わります。これは人もわんちゃん・ねこちゃんも同じであり、症状を確認した場合は体を冷やすことが第一です。身体の冷却法としては、体の外から冷やすルートと中から冷やすルートの2つがあります。

・[非蒸発性の放熱:皮膚]
体外冷却法にはアイスバス(冷水浴)やアイスパック(保冷剤)、その他に扇風機などがあります。
ここでもわんちゃん・ねこちゃん特有のハンデ:不利として被毛があります。すなわち、体の外から皮膚や内臓を冷やす時に被毛が邪魔になるということです。また体内冷却ルートでは給水や経口補水液、アイススラリー(シャーベット)、アイスキャンデーなどがあります。これらを与える場合には、意識が残っていてわんちゃん・ねこちゃんが自分から補給できることが条件になります。

連日テレビでは35℃を超える猛暑のニュースが流れます。
熱中症対策は私たちはもちろん、一緒に生活しているペットにとっても重要課題です。
しかしわんちゃん・ねこちゃんは
1.全身で発汗できない
2.全身を被毛が覆う

という2つのハンデ:不利をもっているため、どうしても熱中症に弱い動物ということになります。 年々暑い期間が延びています。昔は秋と言っていた10月は近頃では残暑真最中です。あと3か月間はみなさんオーナー様もわんちゃん・ねこちゃんたちも十分注意して生活して下さいね~。